春はどこからか肌色のリュックサックを背負って汗もかかずにやってくる

 

春がもし種として落とされ花咲くとしたら・・・

春を呼ぶ魔術師がいるとしたらその数・・・・

春を産む女神がいるとしたら・・・・

 

 

おしべとめしべの語らいを 遮断機の向こうで

歓声をあげながら見ている

 

 





さよならと信仰

 

 花開くころ、里山にかくされた朝陽のほうに禅寺を出た。家族にも「さよなら」を言い、墓参りもした。

 

 目の前の世界は同じなのに、あまりにも未知。見慣れた世界を後に、死後の世界を探る。みんなそんなふうに旅に出た。見知らぬ世界は、何通りもの宗教と何通りものその人の信仰に色を変え、定まらないのに、みんな定めの旅に出る。

 

 目の前の見慣れた世界が、ガリバー旅行記のように、全く姿を変える事はありうることなのに。